祈りは永遠に。

62:幻想

「ルーク! 無事だったのね!」
「ああ。アッシュが先に行かせてくれたんだ」
 それではアッシュは、と心配そうにルークに尋ねるナタリアに私は声をかける。
「アッシュなら大丈夫。シンクとラルゴに援護を頼んでおいたから」
「まあ……それは本当ですの、……!」
「うん。大丈夫だよナタリア、アッシュは死なない――死なせたりしないから」
「ありがとうございますわ……!」
「泣かないで。アッシュが死んだんじゃないから、ね?」
 ええ、とナタリアは涙を拭った。私はそんなナタリアの背を撫でながら歩みを止めずに進む。
――さて。
 アッシュが生きているということは、彼の音素がルークに流れ込んでいないということ。それは、この後色々と必要になる第二超振動が得られていないということでもある。だけどそれについてどうにかできるということは既にディストに確認を取ってある。……大丈夫、大丈夫。
? どうかしたのか?」
「あっ、ううん。何でもないよ、行こうルーク」
 ホドの街並みを私たちは歩く。アリエッタにはリグレットを看てもらうよう頼んできてしまったので、ここに居るのはパーティーメンバーのみんなと私だけだ。
 シンクたちの戦いはもう終わった頃かな。あそこでできるだけ長く時間を取ってほしいんだけど、どうだろう。


「――シンク」
「っは……何、アッシュ」
「この扉は音素を送ると開く仕組みだ。お前は先に行け」
「アンタたちはどうするのさ」
「これくらい、俺とアッシュで十分だろう。シンク、お前は早くのところへ行ってやれ」
 一緒にいたいんだろう、と二人がボクに笑った。敵の数はもう片手で数えられる程度だから、確かに問題はないだろう。
「うん。――ありがとうアッシュ、ラルゴ」
「いいから行け! さっさとしねえとヴァンとの戦いが始まるだろうが!」
 アッシュの叫び声を背に受けて、ボクは白い扉を越える。たちがどのくらい進んでしまったかは解らないが、走ればすぐに追いつけるはずだ。
「っ、、」
 早く、会いたい。
 ボクはアンタの隣にいたい。だってボクは、アンタのことがこんなにも好きなんだから。


2015.12.15 柿村こけら



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