Tales of

夕焼けの空気が甘くて好き

※学パロ


 疲れた。
 それはもう、めちゃくちゃ疲れた。

 朝から電車が遅延して学校までダッシュ。部活の朝練を済ませたのち、先生に頼まれて配布プリントの仕分け。何の因果かどの授業でも指名されて自分の席と黒板を行ったり来たり。その上日直だったから、提出ノートを回収して職員室まで運ぶのもやった。
 動き回ったせいかお弁当だけじゃ物足りなくって学食に行ったら、月に一度の半額デーだったせいもあって激混み、余計に疲れちゃって。午後一発目の授業は体育だったから、動き回って更にお腹が空いて。これまた日直だからとボールの片付けをしてから教室に戻って。六限で提出物を回収して、帰りのホームルームでプリントを配るのもやって。
 で、放課後はまた部活。大会が近いから手を抜くわけにもいかず。持ってきたスポドリが二本とも空になった。
 そりゃ好きでバスケやってるんだけど! それはそれ、これはこれ、だ!
「あ〜っ……つ、疲れた……」
 運動部の部室棟でシャワーを浴びた僕は、ロクに髪も乾かさずにロッカールームの椅子に倒れ込んだ。本当はちゃんと体を拭いて、髪を乾かして、制服に着替えて、それから帰らないといけないんだけど。今はそんなことをする気力もなかった。シャワーを浴びたことで、ギリギリで保っていた気力の糸が切れてしまったようだ。
「ま……誰もいないし、いいか……」
 先輩も後輩も全員帰ってしまった。部室の戸締りをして帰るのは僕だし、ちょっとくらいいいだろう。寝転がったまま、ぼうっと天井を見る。今日は本当に忙しすぎて、「疲れた」以外のことが思い浮かばない。
 何とか視線だけ動かして壁に掛かった時計も見てみる。時刻は午後八時、五分前。校門が閉まるのは午後九時だから、あと一時間はある。でもここで寝てしまったら、明日の朝まで起きられないような気がした。それくらい今日は疲れ切っている。
「……ダメだ……」
 部室には扇風機しかない。こんな熱のこもる空間で寝てしまったら最悪熱中症で倒れてしまう可能性だってある。大会前じゃなかったとしても普通に危険だし、一刻も早く起き上がって、制服を着て……家に帰らないと――そう思っても、一度寝転んでしまったせいか体が動かない。まるで全身を拘束されたガリバーにでもなった気分。
「う〜ん……」
 しかし人間とは不思議なもので、ダメだと思えば思うほど実行したくなってしまう。「押すな!」って書いてあるボタンを押したくなるアレみたいな。……確かアレにも名前があったはずなんだけど、なんだっけ。疲れているせいもあってか頭がボーッとして思い出せない。ええっと……。
「カリギュラ効果のことを言ってる?」
「へ?」
「だから、カリギュラ効果。禁止されるほどやってみたくなっちゃう心理現象。『押すな!』って書いてあるボタンを押したくなるアレのコト」
 にこり。
 そんな擬音が似合いそうな微笑みを浮かべた女の子が、僕を覗き込んでいた。
「寝ちゃダメって思えば思うほど、寝たくなっちゃう……まさに今きみは、カリギュラ効果の真っ只中というわけ」
 再び微笑みを向けられて、流石に僕もこの体勢はよろしくないと考える。寝転がったまま会話をするのは失礼だ。腕に力を入れれば、ガリバーへの拘束もなんのその。僕はあっさりと起き上がり、彼女の方へと向き直った。
……僕の心を読まないでよ」
「読まないでと言われると読みたくなる、これもカリギュラ効果だね。ところで、御所望なら解説を続けるけど」
「解説は大丈夫だよ。それより、どうしてここに?」
「下駄箱見てきたらきみがまだ校内にいるみたいだったから。他の子はもう下校したみたいだし、だったら部室かなーって」
「すごい洞察力だね……」
「『初歩的なことだ、友よ』。だってジュード、部活が終わったら図書室に来るって言ってたでしょ」
「あっ」
「それなのに来なかったってことは、まだきみが部室にいるってコト。私を置いて帰るような非情な人間じゃないもんね〜? ……ふふ、どうしたの。その顔からするに、もしかして忘れてた?」
「……ごめん……」
「も〜……」
 やってしまった。
 いくら疲れていたからと言ったって、待ち合わせをすっぽかすなんて。は僕を待ってくれていたのに……。
「本当にごめん、……」
「……えいっ」
「!?」
 こつん、と軽く握られた拳が僕の頭を小突いた。力なんて全然入ってなかったから、まったく痛みはない。顔を上げれば、仄暗い部室の中で輝く笑顔。はイタズラが成功したみたいな顔で、僕を見つめていた。
「はい、今のでチャラ。もう怒ってないよ」
「で、でも! 僕、と約束してたのに……」
「すっぽかしかけたこと、反省してる?」
「それはもちろん……でも、」
「反省してるならそれでいーよ。この話は終わり。それに、ほら。ジュード、今日すごい疲れてたでしょ? うっかりこんなところで寝ちゃおうと思うくらいに。見てたよ。ノート運んだり、体育の後片付けしたりしてるトコ。なんか疲れてそうだなぁ、とは思ったけど……きみは最後まで頑張りすぎ。ちょっとくらい息抜きしながらやらないと、本当に倒れちゃうんじゃない?」
「うっ……否定はできない……」
「でしょ? ……さて、いつまでもこんなところでお喋りしてても疲れは取れないし。帰る準備をしよっか」
「あ、じゃあ僕着替えてくるね」
「ん、りょうかーい」
 はすっくと立ち上がり、ロッカールームを出ていった……と思ったら、すぐに戻ってきた。
?」
「あ、ジュードはそのまま着替えてていいよ。ただし、座りながらね」
「えっ?」
「濡れたままの髪の毛で帰るわけにもいかないじゃない?」
 言いながら、彼女は手にしたドライヤーをばーん! と僕に見せた。
「だから、私が乾かしてあげる」
「ええっ!?」
「ほら、時は金なりでしょ? とっとと着替えた、着替えた!」
 彼女に急かされ、ジャージのファスナーに手をかける。布に吸い取られてしまったのか、シャワーで濡れた体はすっかり乾いていた。
 は鼻歌を歌いながら、タオルとドライヤーを使って僕の髪を乾かしていく。座っているから顔は見えないけど、とてもご機嫌そうだ。と違って僕は髪が短いから、ネクタイを締める頃にはすっかり髪は乾いていた。最後にわしゃわしゃと彼女は僕の頭をタオルで掻き混ぜる。
 二人で部室を出て、校門を抜け駅へ向かう。駅には学生の姿はほとんどなく、スーツを着たサラリーマンで溢れていた。
「うーん、やっぱこの時間じゃ電車混んでるね……」
「まあ、帰宅ラッシュの時間と丸被りだしね。ところで、遅くなっちゃって大丈夫? 宿題とか……」
「それならさっきジュードを待ってる間に終わらせたから大丈夫だよ」
「うっ……重ね重ねごめん……」
「あ、もう! そんなに量なかったし、元々今日は図書当番だったんだよ。だからジュードのせいじゃないって。それにさっきこの話は終わりって言ったでしょ? 次から気を付けてくれればいいよ」
「う、うんっ」
「いい返事♪ ……っと、電車が来たね」
 ホームに電車が滑り込んでくる。ドアが開いたと同時に、沢山の人が吐き出されて改札の方へ歩いていった。
「あれ、結構空いた?」
「ここ、乗り換え駅だもんね。これなら座れるかも」
 先輩の後をついて電車の中へ。一気に大量の人が降りたからか、ぽつぽつと座席は空いていた。ちょうど二つ並んで空いていた席に腰を下ろし、教科書以外にも部活用の運動着などが突っ込まれたカバンを膝の上に置く。
「座れて良かったねー」
「だね」
「それじゃ……はい、どうぞ」
「え?」
 が僕の方に向かって軽く腕を広げる。困惑している僕を尻目に、彼女はにこっと笑いながら僕に告げた。
「肩貸すから、寝ててよ。大丈夫、ちゃんと起こしてあげるから」
「え!? でも、重いよ!?」
「そんなの気にしないよ。私がそうしてもらいたいだけし」
「まあ、ジュードがその重そうなカバンを枕にしたいって言うならそれはそれで構わないけど」
「……肩お借りします」
「うむ、よろしい」
 ゆっくりと体を傾けて右肩に頭を乗せる。僕の頬をの髪がさらりと撫でた。うわなんかいい匂いする。シャンプーだけでこんないい匂いがするものなのかと内心困惑してしまうけど、せっかくが僕のために肩を貸してくれているんだ。邪念は捨てないと……!
 そう考え、必死に別のことを頭に思い浮かべる。えーと、えーっと……帰ったら夕飯を作……るのも面倒だし、今日はカップ麺でいいか。食べたら風呂に入って、宿題を片付けて、それから……それから…………。
――そんな混乱をしていたのも、束の間のこと。
 今日一日いろいろあったせいで、どうやら予想以上に疲れていたらしい。そりゃそうだ。何より大事なはずのとの約束まで忘れそうになったくらいだし。気付けば僕は、電車の規則的な揺れを感じつつも夢の世界へと落ちていた。

「……ド。……ジュード、ジュードってば……」
「……ん……、っ!!」
「おはよう、よく眠れた?」
「う、うん。それはもうぐっすりと」
「それは何より。電車、着いたよ。降りようか」
 は先に立ち上がると、僕の分のカバンまで持ってドアへ向かってしまう。寝ぼけ眼で周りを見れば、車内からはすっかり人が消えていた。
「はい、カバン」
「ありがとう……って、あれ? なんでも一緒に降りたの?」
 僕の降りる駅はの降りる駅の3駅手前のはず。もしかして、と思い、慌てて駅名の書かれた看板を見た――ここ、僕の最寄り駅じゃない。
「…………」
「よく眠ってたから、起こさない方が良さそうだなと思って。それにひとりで帰したらご飯も食べずに寝ちゃいそうだったしね。というわけで、今夜は私の家に泊まっていってよ。大丈夫、この間使った着替えならちゃんと洗っておいたから」
「全然大丈夫じゃないんだけど!? もう……、ことあるごとに僕を甘やかそうとする癖、何とかならない?」
「ならないかな。ジュードが頑張り屋さんでいる限り、私はきみを甘やかしちゃうよ」
「そんなドヤ顔で断言しないでよ……」
 もちろん、のお家にお邪魔するのはこれが初めてではない。今までもちょくちょく泊まらせてもらっていたりする。は面倒見の鬼と言ってもいいくらい僕の面倒を見たがるのだ。彼女としては「好きでやってる」そうだけど……。
「も〜……」
「ふふ、そんな膨れっ面しないの。大体、私はジュードの頑張り屋さんなところが好きなんだから。だからジュードは一生私に甘やかされる運命ってワケ。……ほら、帰ろ?」
 おどけた顔で手を差し出してくるにはやっぱり敵わない。僕は彼女の手を取って、暗い夜道をふたり並んで歩き出した。
「お邪魔します」
「お邪魔されまーす。さて、じゃあ私夕飯の準備しちゃうから、ジュードは……どうする? 先お風呂入る?」
「家主より先に入るのはちょっと……あ、そうだ。宿題やっててもいいかな?」
「もちろん! 何の宿題?」
「レポートが一個。アルヴィンがこの間の授業のまとめを宿題で出してきて……そんなに長いやつでもないし、すぐ終わるとは思うんだけど」
「ん、了解。じゃあジュードはそっちのテーブルで宿題してて〜」
 はエプロンを身につけると、キッチンへと消えていく。申し訳ないと思いながらもテーブルを借りて、僕は教科書やノートを取り出した。
 それから三十分と経たずに僕はレポートをまとめ、最後に結論を書き上げる。ちょうどそのタイミングで顔を出したは、僕の方を見てこてんと首を倒した。
「宿題終わった?」
「あ、うん。ごめんね、手伝わなくて」
「いいのいいの。私はどうせ何もないしね〜。ジュードは朝から部活でしょ? また疲れて寝ちゃわないよう、食べたらしっかり休んでね」
「ありがとう、。あ、お皿、僕が運ぶね。この匂い……野菜カレー?」
「そうだよ。ジュード疲れてたし、がっつり食べられる物にしようと思って。多めに作ったから良かったら持って帰ってね」
「いつもありがとう。のカレー大好きだから、嬉しいよ」
「もう、褒めてもカレーしか出ないよ? ……よし、じゃあ食べようか! いただきま〜す」
「いただきます!」
 の作る野菜カレーは、大きめの野菜がごろごろ入っていて食べ応えがある。ピリッとする味付けも、辛すぎず甘すぎずちょうどいい感じだ。なので、いつもついついお代わりしてしまう。
 結局二杯お代わりをしてしまい、僕がお腹いっぱいになる頃にははとっくに食事を終え、僕を見てニマニマ笑っていた。
「食べ盛りだね〜」
「それもあるけど……が作ってくれたからだよ」
「気に入ってくれてるようなら何よりだよ。あ、デザートにアイスあるけど、食べる?」
「うん、貰おうかな」
「そうくると思って……はい、雪見だいふく〜!」
「なんで雪見だいふく!?」
「え〜? 一つのパックをふたりで分けるのってなんか贅沢な感じしない? ピノを一つ貰ってもそんなにテンション上がらないけど、雪見だいふくの一つは実質半分だからね。贅沢でしょ」
「そう言われると……そのような気がしなくもない……?」
「ていうかカレー三杯も食べた後に普通にアイス食べたらお腹壊すよ。はい、あ〜ん」
「モグッ!? ちょっ、まっ、モゴモゴゴゴゴモモゴ!!!!」
「食べながら喋ると喉詰まらすよ〜。あっそうだ、お風呂沸かしてあるから、食べ終わったら入ってね。……お風呂で寝落ちしないように、ちゃんと見ておいてあげるから♪」
 相変わらずニマニマと笑いながら告げてくるものだから、思い切り咽せてしまった。これには流石のも慌てて、僕の背中をバンバンと叩いてくる。
「!!!!!!!!???? ゲホッ」
「!? ちょ、ジュード!? お水飲んで、お水!」
「ごくっ…………ぷはぁ……はー、喉詰まらせて死ぬかと思った……もう、! いきなりそういう冗談言わないでよ。しかも人が食べてるときに!」
「え〜? 冗談じゃないんだけどな」
「……
「はいはい。じゃあ私はお皿洗っておくから、ジュードは早くお風呂入っちゃって〜。着替えはお風呂場の棚に入れてあるから、ね」
「……うん」

「ふぁ……」
 風呂から上がったらまた眠気が襲ってきた。カレーを食べていたときはハッキリしていた意識は旅に出てしまったらしい。
 に言われた通り、彼女の部屋に入る。初めて来たときは「女の子の部屋」ということでちょっと恥ずかしさもあったけど……慣れてしまった今では、最初ほど照れはしない。
 でもやっぱり、窓際に置かれて少し大きなベッドを見ると恥ずかしくはなってくる。この家には客用の布団がないので、自動的に僕もそこに寝ることになるのだ。最初は床でいいと言ったのだけれど、は首を縦に振らなかった。
「……はあ」
「溜息つくと幸せが逃げるよ?」
「うわっ!?」
「ちょっと驚きすぎじゃない? ここは私の家なんだから、私がどこから出てきたっておかしくないでしょ?」
「まあ、そりゃそうだけど……早かったね、
「私が戻ってこないとジュード寝なさそうだから急いだの。でも長い髪っていうのも乾かす時に面倒なんだよねー……夏だし切っちゃおうかな?」
「えっ」
「ん? どうしたのジュード、そんなびっくりしたような顔して」
「や……だって、髪綺麗でしょ。切ったら勿体ないなあと思って。それに……」
 いい匂いもするし、と言おうとして。
 それはちょっと変態くさいかもな、と思ってやめた。
「……何でもない」
「え〜!? ちょっと、そんな言われ方したら逆に気になるんだけど! 何何、何言おうとしたのジュード!」
「何でもないってば! ほらもうっ、! 寝よう!!」
「え〜? 教えてくれなきゃ私寝ないよ? それにほら、言わないと言われると、逆に言ってほしくなっちゃうし。カリギュラ効果、カリギュラ効果」
「……解ったよ。じゃあベッドに入ったら言うから、こっち来て」
「くっ、策士だねジュード」
にやられっ放しの僕じゃないってこと」
 はしぶしぶと言った風に部屋の電気を消して、もぞもぞとベッドに入り込んだ。つめたかったシーツが二人分の熱で少しずつ温かくなっていく。
「で?」
 ごまかせたかと思ったけど無理だったらしい。は暗闇の中で僕に微笑み、さっきの答えを促そうとする。この距離じゃ逃げることもできず、僕は仕方なく負けを認めた。
「……さっき、電車の中で肩借りたでしょ。そのときにの髪が……その。とてもいい匂いだったから……切るのは勿体ないなあ、と、思っ……」
「……!」
「あー! もうストップ、ストップ! 僕明日も朝練あるし、もう寝るからね! おやすみなさ――」
「ジュード」
「っ!?」
 ぎゅうっ、と。
 の細い腕が、僕の体を布団の中で抱き締める。夏だというのに、エアコンがきいているせいか暑くはない。
けど――心臓が高鳴って、どんどん体温が上がっていくような、気はした。
「ちょっ、」
「……ジュードがそんなに言うなら、切らないことにする。ありがとう、ジュード」
……」
「明日、お弁当作るね。きみが朝練頑張れるように」
「……うん。ありがとう、
「どういたしまして。……おやすみなさい」
「おやすみ、

 枕元に置いておいたスマホのアラームで目が覚める。手探りでスマホを探し、鳴り続ける音を止めようとして――柔らかな感触にぶつかった。
「んん……?」
「……あ、」
 寝ぼけていた頭が急速に覚醒していく。そうだ、昨日はの家に泊まったんだった。
「じゅー、ど……?」
「お、はよう、
 今度こそ目を開いて、まずスマホのアラームを止めた。それからもぞりと起き上がり、隣に眠るを見る。まだ寝惚けているのか、彼女の目はぎゅっと瞑られている。滅多に見られないそんな姿を、もっと見ていたいと思うけど……残念なことに時間は止まらないから、起こさないと。
「朝だよ、。起きられる?」
「んん……うーん……もう、ちょっと……ふぁ……」
「ちょ、! ダメだってば!」
「んむ〜〜……」
 目を閉じたままもぞもぞと動いたは、布団の中へと潜っていく。枕から外された頭の着地点は僕の腕の中。すっぽりと収まったかと思うと、規則的な呼吸を繰り返しながらまた眠ってしまった。
「まったく、ってば……」
 このままでは動くこともできない。無理矢理起こすことができないわけでもないんだけど……まあ、五分くらいなら大丈夫か。
「五分だけだからね?」
「ん……」
 聞こえてるのか聞こえてないのかわからないが、はちいさく返事をしてくれた。……まったく、僕も何だかんだでに甘いのかもしれない、なんてね。



2020.06.30 柿村こけら
謎学パロ。エクシリア学園のような何かその2。


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